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2024年8月

さらば夏の光よ

 今年の夏ほど猛暑、酷暑があるだろうか? 毎年そう言いながら過ごしてきた京の夏。長野の友人から頂いたスイカを、「美味この上なし」と毎日食して暑さを凌ぐ。我が家の夏の定番のニシンナスや焼きナスも、手間はかけるがお金はかけないのフツーの暮らし。

Photo_20240822073901      Photo_20240821192202     Photo_20240821192201    それでも16日の五山送り火が過ぎると秋の気配、あれほど賑やかに夏をうたった樹上の蝉声が消え、通り抜ける風も涼しい……
 8月8日気象庁が発した南海トラフ地震臨時情報のせいばかりではないが、15日に解除されるまで地震は来るのか??いや多分来ないよ…避難はどこへ? 軽くおびえながら仕事に励む毎日でした。 その埋め合わせに、ドーンと張り込んで高島屋7階の万葉軒スタイルへ。

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我が家は万葉軒の定食が2000円だった頃から親戚の子供たちと一緒に来ていて、ずらっと並んだナイフとフォークも慣れっこ。どれから使うか不明の時はスタッフに聞きます。ここのスタッフは控えめかつ親切ですよ。

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前菜に始まって、タイとエビの魚介、スープも美味しい。林立するグラス群はお水迄入れてこれが一人分❓ビールは1本しか飲めずですが、久々の会食に家族の顔は明るい。

20240814_175934Photo_20240821200502ステーキにはご飯とパンの選択もできる、エッ私ですか日本人の主食を選びました。デザートまでいただいて満足満足。帰宅して窓を開け、夜空を見上げた一人が「夏も終わりだね」とつぶやく。  この季節、シャルル.ボードレール(1821‐1867)「惡の華」の秋の歌の冒頭 堀口大学が訳した「われら やがて 冷たき闇に沈みいらん おお、 さらば さようなら  短きにすぎにし われらが夏の 生気ある輝きよ」 を思うと感傷的になっていた。冷たき闇は人生の墓場だと……   所がところが、アンドレ.ジッド(1869‐1951)の「狭き門」に主人公のジェロームがジュリエットに「アリサと何を話していたの?」と聞かれる場面がある。  ジュリエットはジェロームを愛し、ジェロームはアリサを 深く愛している。「ボードレールの詩だったかな…やがて僕らはつめたい闇に沈むだろう」ジュリエットはそれに続けて「さらば 激しい夏の光よ はかないわれらの夏」と詠う。狭き門は1909年出版だから、ボードレールの死後40年たっても若者たちは、彼の詩を歌い続けていたのだ。ふーん、感傷的な堀口大学様の訳詞と違って、さっぱりとうたった安藤元雄の訳も良いし、訳者不明「「やがて 冷たい暗い季節がやってくる 短かった夏の光よ さらば」は青春の終わりをつげる歌と取れて面白い。

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