胡蝶の夢
感染力が強く重症化しやすい新型コロナ変異株の流行に歯止めがかからない。関西圏を中心に東京も加わった3回目の緊急事態宣言が4月25日ー5月11日で発出されて今日で5日、感染者数はむしろ増加している。庶民の日常は、不要不急の外出.外食を控え、自宅と職場の往復だけ…なんの楽しみもない?いえいえそれが結構あるんですよ。仕事場の玄関には,兜の屏風をバックに花はシャクヤク、布細工のこいのぼりを飾っている。
長岡京のF様から朝掘りタケノコが今年も届いて、家じゅう大喜び❣ 我が家流筍のゆで方は、寸胴鍋にコメヌカひと掴み、丸のままの赤唐辛子2本、外皮2枚ほどはがして穂先は5センチ切り落とし、縦に一筋切れ目を入れて準備完了,水からゆっくり1時間位湯がいて一晩そのまま置いてあく抜きする。翌日きれいに皮をむいて根本は固いので5センチくらい輪切り、あとはタッパーに入る大きさに切り分け冷蔵庫で保存、毎日水替えが必要。私のお得意はタケノコご飯や筍とわかめの炊き合わせ、家人や若者たちは、チンジャオロースや薄きり筍とスモークトサーモンはさみ揚げなどを各種お試し中。
先日久ぶりにタブレットで週刊朝日に目を通していたら,司馬遼太郎(1923⁻1996)の「胡蝶の夢」の副主人公,佐渡の伊之助を紹介していた。読みたい!四条大宮からブックファーストが消えて4か月、JR二条駅の書店まで4冊を求めにゆき,グータラな私が集中して4日間で読了した。幕末ー明治にかけて蘭方(オランダ医学)を学んだ松本良順が主人公、体系的に医学を学んだことがない良順たちが、長崎でオランダ軍医のポンぺに師事して基礎から医学を学び激動の幕末を生き抜く。佐渡の伊之助はサヴァン症候群を思わせる記憶の天才で特に語学に優れ、オランダ語中国語ドイツ語英語と貪るようにわがものにしてゆく。世間からどこかズレていて、松本良順を師と慕うほかは関 寛斎位しか彼を人間扱いしない。オランダ医学を学ぶには、オランダ語は必須、蘭方医の卵たちは死に物狂いで勉強しているのに、伊之助一人スズシイ顔であっという間にマスターし、発音も抜群。伊之助の異才が重宝もされ憎まれもする。伊之助も良順についてポンペに学び、一応医者…になる。39歳で喀血死した伊之助に作者の筆はどこまでも温かい。良順も伊之助もまだ知らない、ドイツ医学を体得した森鷗外たちの足音がそこまで迫っている事を…
タイトルの「胡蝶の夢」は、戦国時代の中国の思想家荘子 (荘周 BCE369ーBCE286)からきている。ある日荘周 は、夢で胡蝶になり喜々として舞っていた。はっと目覚めればこれはしたり,蝶ではなく荘周ではないか…この私 荘周が夢で蝶だったのか、実は私は蝶であって、夢で荘周となっているのか… 荘周と胡蝶とには確かに、形の上では区別があるはずだ。しかし主体としての自分には変わりは無く、これが物の変化というものである。うーん、難しいこと抜き!でも「胡蝶の夢」は楽しめた。
雨上がりのクレマチスや紫蘭も春を満喫しているよう。さて暗いゴールデンウイーク、5月4日はお仕事して時間を過ごしましょう。
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