« 2020年10月 | トップページ | 2020年12月 »

2020年11月

武器とくすり   第72回正倉院展

    晩秋の奈良国立博物館で第72回正倉院展)を堪能してきた。今回のテーマはクスリと武具.武器,4点の初出物も含めてゆっくり拝見できたのは、コロナ禍での混雑を避けるため、日時指定券を導入して入場制限していたため。
Photo_202011150647012_20201115064901 

正倉院展は行列がお好きらしく、正倉院展といえば何重にも並ぶ行列の思いがあるが、今年も指定時刻の30分前から小さな行列を作りました。関西でいうイラチの私は先頭でしたので、待つも楽しとスカイブルーの空を撮ったり係員に先導されてのお偉いさん気分も味わったり。   私のようなミーハー正倉院展ファンは、752年に東大寺の大仏が完成し、756年に華厳経に深く帰依された聖武天皇が崩御。その七七忌(四九日)に光明皇后が御遺愛の品々を東大寺に献納されたお陰で、シルクロードを通って遥々奈良まで運ばれたペルシャ絨毯や中国インドなどからの楽器、憧れの漆胡樽、種々の薬、武器武具等々を正倉院展で拝見できるくらいの知識でした。     

Photo_20201115064901  Photo_20201115064902 Photo_20201115065401

今回は待ち時間中に図録をじっくり読み、これらの献納品は、生存中の聖武天皇ご自身が準備されていた可能性が高い、と目からウロコ。天皇様は、死後に十地(十聖)修業を積んで、最終的に廬舎那仏の世界である華蔵の宝刹に到達したいご希望があり、其の初地(修行の出発点)は、すべての争いをやめて、モノや人への執着を断ち、あまねく衆生を救済すべし…    光明皇后は,十地修業を歩み始めた故天皇の為にこの世から援護して、国家の珍宝やご愛用の品々、殺生のための武具や病に苦しむ衆生のために使ってほしいと薬物を献納さたという訳。 クスリ展示トップの五色龍歯は、重さ4.6㎏ インド産ナルハダ象の上顎第3臼歯ですって…他の薬物と併用で鎮静剤,収斂剤として使用するのですが、当時の人々には受けなかったらしく、ほとんど使用されず重量もそのまま残っている。
束ねた木の皮みたいなのは厚朴と右は厚朴を十三斤八両(約3㎏)を献納いたしましたの説明書。厚朴は中国南部のクルミ科の樹皮を丁寧に剥ぎ取り去痰剤,腹満解消に使用され、天平の人々の性に合ったのか献納時の半量に減少している。

Photo_20201117172301  Photo_20201117172304   Photo_20201117172401   Photo_20201119110001

矢を収納したバッグと鋭い矢の先端は迫力満点、藤原仲麻呂の乱(764年)で木工寮の縫衣大市(ぬいのおおいち)に貸し出され、乱平定後に返納されたもの。槍の穂先みたいなのは鉾-まっすぐ主軸刃が伸びるタイプ、右2点も鉾⁻主軸刃の下方に鉤状の支刃が伸びるタイプで,攻撃される方は凄く痛いだろうな刺突用の武器。

Photo_20201117174601 横たわる飾り刀 、金銅鈿荘太刀で全長74.9㎝、献納時は100口(カタナの数え方って)あった太刀も、764年の乱で大半が出蔵され現在は、数口のみとなっている。聖武天皇さまは趣味豊か、残された美術品!は息をのむ美しさ Photo_20201119115301  Bati 四弦の紫檀槽琵琶は、全長98.5㎝。赤地の撥受けには、襲い掛かるハヤブサと、攻撃をかわすべく、今まさに飛び立とうとする2羽の水鳥が描かれています。紫檀金泥絵琵琶撥(したんきんでいえびわばち)は20㎝、未使用のまま。           囲碁盤ー桑木木画碁局(くわきもくがのききょく)囲碁は古代中国で完成された遊戯ですが、ルールも変遷して来てこの盤面に既に現行の日本の形式が読み取れるらしい。平螺鈿背円鏡(へいらでんはいえんきょう)   約40㎝、螺鈿や琥珀で贅沢に装飾した銅鏡はもしかして遣唐使が持ち帰って高位の人物にプレゼントされ、やがて東大寺の宝庫に収まったのかも…

20201119_112947  Photo_20201117172404 Photo_20201120143101  

花せん(フェルト地の敷物)は245㎝×123㎝こんな複雑な模様どんな風に作られたんだろうとチラッとよぎりますけれど、いやー再現しようとは夢思いません。その再現プロセスが会場で放映されていましたが正にあなたの努力に頭が下がる、感謝あるのみ。

Photo_20201120143001

古文書大好きわたしの収穫、あの鑑真さま(687-763 )の借用書、鑑真さま幾多の苦難を超えて754年2月に平城京入りされ、その翌月3月にこの華厳経他3種を貸してねとお勉強です。さーすーがしか言えません。日本の原点正倉院展はかくも素晴らしい!いかがです、あなたさまも❣

 

| | コメント (0)

« 2020年10月 | トップページ | 2020年12月 »