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2020年8月

ソロモンの指輪

 映画「グランド.ジャーニー」が7月23日から公開中。どんな映画かと申しますと、『絶滅の危機にある渡り鳥に安全なルートを教えるため、超軽量飛行機(ULM)で 一緒に空を飛んだ気象学者クリスチャン.ムレクの実話をもとにしている。  監督の二コラ.ヴァニエさんが、学者の14歳の息子トマも渡り鳥と一緒に空を飛ぶ物語として再構築した。

  Photo_20200802090301   Photo_20200802154201   トマはゲームが大好きで、バーチャル世界にのめりこむ、世界中どこにでもいるフツーの男の子。フランスではバードマンの愛称で親しまれる学者の父親宅で、渡り鳥のガンの卵が孵化し、刷り込み現象で居合わせたトマを母親と思い込む。どこでもついてくるからやむなく世話をしているうちに、トマはガンのヒナたちに愛着を持つようになる。「刷り込み」は、動物行動学者コンラート.ローレンツ( 1903-1989)が見出した現象で、ヒナが孵化後の一定期間に見た動くものや,声を出すものを親だと認識してついて回る習性のことだ。1988年にハヤカワ書房から出た彼の著書 動物行動学入門「ソロモンの指環」は12章ありユーモアあふれる筆致で 当時はまさに目からウロコで読んだし、今でも十分楽しめる。それもそのはず、翻訳者は京大の動物行動学の草分け、あの日高敏隆さんである。最も印象的なのは、6章の生まれたばかりの雌の灰色ガン マルティナが、彼を母と思い込み行く所 すべてについて回る「刷り込み」のシーン。彼は1973年に、医学.生理学でノーベル賞を受賞している。

Photo_20200802161401 Photo_20200802131802  Photo_20200802090201ロモン王は、紀元前10世頃のイスラエルの第3代の王(シバの女王との駆け引きに満ちたラブロマンスでも有名) のこと。 彼が魔法の指輪をつけると様々な動物と会話ができたという伝説がある。ローレンツ様曰く 「けれど私は、自分のよく知っている動物となら、魔法の指環など無くても話ができる。この点では、私のほうがソロモンより一枚上手である。」  グランド.ジャー二-に戻って、トマは空を飛んでこんな世界があるんだ、ゲームの画面より現実のほうが広大で美しく感動的だと実感する。新型コロナは世界中のみんなが関係者、今までと同じ生き方はできないのだからこの経験を生かして困難に打ち勝とうというメッセージもある。

   Photo_20200803072301    20200802_065128 

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7月31日やっと梅雨明け、待ちかねた梅干しが始まった。梅の香気に包まれてふと夏草茂る下の庭を見て浮かんだのは、 堀本祐樹  (熊野曼陀羅2012年)の    葉は耳に耳は葉になり青葉闇  霊地 熊野の 木下闇では、作者の耳は葉になり頭上の葉は耳になって,樹木についている耳が聞き取った音も人に聞こえているのではないか…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

    

 

 

 

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